++ 夜明けの歌 ++







「……なんだ、これは……」

「見てわからないの? キミは頭だけじゃなくて目も悪くなってしまったのかい?」

「そんなことを言っているのではない!」

 バン!!

 力強く机を叩きつける音が部屋中に響き渡る。

 とても低く重く、窓の外で静かに鳴いていた虫すら驚いて鳴きやんでしまうほど大

きな音。

 音を出した張本人……ミュラーは、奥歯を強く噛みしめて目の前の男を睨みつけ

る。その碧の瞳の奥には深い憎悪の炎が見え隠れしていた。

 怒りを隠そうともしないミュラーの視線の先にいるのは、底冷えをするのではない

かと思えるほど冷たい目でミュラーを見やる男、オリビエ。

 ミュラーから真っ向に敵意の視線を向けられても物ともしておらず、光を宿してい

ない瞳は何にも興味を示していないように見え、呆れたようにため息を吐いた。

「わかってるのならいいじゃないか。わざわざ説明しなければいけないほどキミも子

供じゃないだろう?」

 普段のオリビエからは想像をすることもできないほど冷淡な声音に、冷めきった

瞳。

 彼が『親友』であるミュラーに対してこんな顔を見せることなど今まで一度もなかっ

た。そして、ミュラーがオリビエに対して敵意を剥き出しにすることも一度もなかった。

 互いが互いを睨みあい、炎と氷がぶつかり合い爆ぜる音がどこからか聞こえてく

る。

 無言のまま互いを睨みつけ、どちらも目を逸らそうとはしない。

「……これが、お前の真意だと言うのか……!?」

 先に口を開いたのはミュラーだった。机を叩きつけた拳を強く握りしめる。……震

えるその手の下には一枚の紙があった。

 金の箔押しがされた、一目見てわかるほどの上質な紙。達筆な文字が綴られ、最

後をオリビエ……いや、オリヴァルト皇子の署名で締められており、上に皇室の御

印まで押されている。

 すなわち、それが単なるお遊びや気まぐれで書かれたものではなく、公的な書類

であることを示していた。

 オリビエはミュラーのことを友人と呼び、ミュラーも腐れ縁だと思ってはいるが、2人

の本来の立場は『主と従者』だ。

 だから私的ではない、公的な書類を出すことは少しもおかしくない。

 ……しかし問題なのは、その書類に書かれている内容だ。オリビエから手渡され

たそれは、ミュラーの怒りを爆発させるには十分すぎるものだった。

 そこには流れるような文字でこう書かれていた。

『ミュラー・ヴァンダールを、本日付でオリヴァルト皇子の護衛から解任する』と。

「解任するとはどういう意味だ」

「どういう意味も何も、見た通りの意味だよ」

 昨夜までオリビエの様子はいつもと変わりなかった。屋敷を去ろうとするミュラーに

『明日も来てくれるよね?』と笑顔を見せていたというのに。

 書類には見慣れたオリビエの字で彼の名がサインされている。

 ということは、オリビエがミュラーを解任することを認めたということだ。

 子供の頃から何度かこういうやり取りはあった。ただの庶子で何の権限も持ってい

ないオリビエに、正統なヴァンダールの血を引いているミュラーを護衛につけるなど

勿体ない。という声は常に上がっていた。

 思い出すのも腹が立つが、嫌がるオリビエに無理やりサインをさせようとした輩も

いた。

 けれど今は違う。オリビエはもう周りの人間に左右されるほど子供ではないし、ほ

んの気まぐれでミュラーを解任するなどと言い出すほど愚かでもない。

 そうなると結論はただ一つ。

 これはオリビエ自身が決めたことだ、ということ。

「……何故、俺に相談もなく勝手なことを決めた」

 こんな大事なことを何故黙っていたのか。何故自分に一言も相談がなかったの

か。

 怒りは収まらないが、ここで自分が怒鳴り出せば話は一向に前に進まないだろう。

 ……だが、相手はオリビエだ。そんなミュラーの強がりなどすぐに見抜いてしまっ

ている。奥歯を強く噛みしめて怒りを堪えているミュラーを見て口の端に笑みを浮か

べさせた。

「相談? 何故、ボクがキミに相談なんてしなきゃいけないの?」

「オリビエ、お前は……!」

 決して怒鳴るまい。そう思ってはいたが、元々ミュラーは気の長い方ではない。

カッと頭に血が上るのがわかり、そのままオリビエに掴みかかってしまいそうになる。

だが、

「口を慎め、ミュラー・ヴァンダール」

 静かな声がミュラーの耳を突く。

 一瞬にして我に返ると、真顔のままじっと自分を見つめるオリビエがいた。

 その目はいつものふざけているものではない。真摯な紫紺の瞳に射抜かれて、

ミュラーは思わず体を強張らせる。

 それは恐らく……本能。

 目の前の男には決して逆らってはいけないと、ミュラーに流れるヴァンダールの血

がそう告げていた。

 そんなミュラーの状況をわかっているのか、オリビエはゆっくりと続ける。

「何か勘違いをしていないか? ……今、キミが話をしている相手は誰だい? 言っ

てみなよ」

 子供を諭す母親のような口調。顔は笑っているけれど、決して反論を許さないと

言葉の端々に棘が刺さっているのが見て取れた。

 以前からオリビエはミュラーのことを『親友』だと言っていた。だからこそ普段のよう

な軽口も許されていたのだが、それはあくまでも特例だ。本来なら決して許されるこ

とではないし、ミュラーも公の場ではきちんと敬語を使うようにしていた。

 なのに、いつもミュラーを『従者』であることより『親友』であることを優先させていた

オリビエの姿はどこにもない。

「キミはヴァンダール家の人間。そしてボクはアルノール家の人間。……何を言い

たいのか、わかるよね?」

 そんなこと言われなくてもわかっている。誰よりもミュラー自身が常に骨身に感じて

いたことだし、オリビエに対して口酸っぱく言っていたことなのだから。

 どれだけオリビエが自分のことを『親友』だと言ってくれていても、結局は主と従者

の関係から決して抜け出すことはできないのだ。

 オリビエのことを親友だとは思っている。それでもやはりミュラーにとっては『親友』

である前に、誰よりも護るべき『主』であるという方が表に出てしまうのだ、と。

 そう言うたびにオリビエは子供のように頬を膨らませて機嫌を悪くさせていて、そ

んなオリビエを見てミュラーはいつもため息をついていた。

 ……オリビエの方から自分たちの関係を改めさせてくることなど、今まで一度もな

かったのに。

 言葉を返せないミュラーにオリビエは笑顔のまま畳み掛ける。

「己の立場を見失っては本末転倒だよ。……こんなこと、ボクに言われなくてもキミ

ならわかっているよね?」

 それもいつもミュラーが言っていたセリフだ。『少しは自分の立場と言うものを弁え

ろ』と、オリビエが問題を起こすたびに言っていた。

 けれど言われる立場になって初めてわかる。

 友人だと思っている相手にそのセリフを言われるのは辛い所がある。頭ではその

通りだとわかっているのだけれど、完全に受け入れることのできない自分がそこに

いた。

 オリビエもいつもこんな気持ちだったのだろうか。今更ながら気付かされて愕然と

してしまう。

「後の処遇は全てゼクス少将に任せてある。……大丈夫、悪いようにはしないはず

だから。……話はそれだけだから、もう帰っていいよ」

 もう話は終わりだ、と言わんばかりにオリビエは軽く手を振ってミュラーから目を逸

らす。

 だが、ミュラーはその場から動かない。……いや、動けない。動いてはいけない。

まだオリビエには聞かなければならないことがあるのだから。

「……皇子。一つだけお聞かせください」

「……何?」

 オリビエに対して敬語を使うのはいつ以来だろうか。ましてや、2人きりの時に使う

など出会ったばかりの頃以来だ。

 慣れない口調、慣れない呼び名。

 だからだろうか。ミュラーだけでなくオリビエも若干声音が固い。

「今回の辞令は、『あの日』のことが原因なのでしょうか?」

「………………」

 あの日。

 それが何のことか、などと聞き返さなくてもわかる。

 数日前の夜……ミュラーが、オリビエの首を絞めた日のことだ。

 あんなことが起こっても、次の日もその次の日もオリビエは表面上はいつも通りに

ミュラーに接していた。

 ……けれど、実は違ったのだ。

 オリビエはミュラーを見ようとしない。それでも構わず続けた。

「確かに私は、皇子に対して決して許されることのない行為に及びました。……今

回の辞令が『私が皇子を裏切った』せいだと言うのでしたら……私は、何も言わずこ

の辞令を受け入れます。ですがもし違うと言うのでしたら理由をお聞かせ願えませ

んか」

「………………」

 ミュラーの言い方は巧妙だ。

『ミュラーがオリビエを裏切った』せいで……

 もし本当にあの出来事が原因なら、なにもあれから数日も待たずにその場でクビ

を言い渡されていただろう。

 何よりオリビエ自身もあれがミュラーの裏切り行為ではないことはわかっている。

 それなのに今更こんなことを言い出したということは、この数日でオリビエの心を

変える『何か』があったのだ。

「皇子」

 先ほどよりも強く呼びかける。

 このままだんまりを決め込まれたらどうしようか。『お前に話すことはない』と一蹴さ

れたらどうしようか。ミュラーにそれ以上オリビエに詰め寄る権利はない。一抹の不

安が過る。

 ……しかしそんな心配も杞憂に終わった。自分をじっと見つめる視線に観念した

のか、オリビエは長い息を吐くとじっとミュラーを見上げた。

 そこに浮かべられているのは、今にも消えてしまいそうな儚い笑み。

「……あの日のことが原因かそうでないか。と聞かれたら、『そうだ』とだけ答えてお

こうか」

「皇子、私が聞きたいのは……」

 言いかけたミュラーの言葉をオリビエは片手を上げて遮る。そこに先ほどまでの

儚げな笑みはない。まるで責めるような目でミュラーをねめつけた。

「……それに、キミも今日はボクと同じことを言うつもりでここに来たのだろう?」

「っ!」

 唐突に虚を突かれてミュラーはハッと息を呑む。

 その反応がオリビエの言うことが真実だということを告げている。オリビエは乾いた

笑いを見せた。

「やっぱりね。ボクがキミのことに気付かないとでも思ってた? ……ボクも甘く見ら

れたものだね」

 悟られないようにしていたつもりなのに。ミュラーは胸中で独りごちる。

 オリビエの首を絞めてしまったあの日から、ミュラーは胸の中に闇を抱えるように

なってしまった。

 何故あんなことをしてしまったのか。それは今でもよくわからない。

 だが、このままでは再び同じ過ちを繰り返してしまうのではないか。……そして今

度こそ、本当にオリビエを亡き者にしてしまうのではないか……。そればかりを考え

てしまい他に手がつかなくなってしまう。

 なのにあんな目にあっても、オリビエは何も変わらず自分に接してくれている。そ

れが何よりも申し訳なくて仕方がないのだ。

 こんな状況でオリビエを護ることなどできるはずもない。

 ……だからこそ、思ってしまった。

 自分はオリビエの隣に立つべきではない、と。

「キミもボクに護衛を辞めさせてもらうよう言いに来た。そうだね?」

「違う、俺は……」

「大丈夫、気にしなくていいよ。キミを追いつめてしまったのはボクだ。ボクがあまり

にも不甲斐ないからキミをあんな行為に及ばせてしまった」

「違う!!」

 気が付けば叫んでいた。

 だが、オリビエは一切動じた様子を見せずにただミュラーを見上げている。

 まるで捨てられることを理解し、それでも全てを許しているかのような……だが、ど

こかでミュラーを責めているような笑み。

 違う。そうじゃない。

 自分の中に何度も何度も言い聞かせる。

「……俺は、お前を護るには相応しい人間ではないと思ってしまった」

 気が付けば口調が元に戻っていた。

 しかし互いにあまりにも長い時間を共に過ごしすぎていたため、そうしていることが

自然なので少しも気にならない。

「逃げようとしたわけじゃない。見捨てるつもりでもない。……ただ、お前を傷つけて

しまうことが恐ろしかった」

 オリビエの言っていたことは事実だ。

 本当は今日は、自分はオリビエと一緒にいるべきではないと告げるためにここに

来た。

 ……しかしこちらが口を開く前にオリビエから辞令を出されたのだ。互いの利害は

一致したと言うのに何故かあんなにも憤慨してしまった。何故なのかはよくわからな

いが……きっと、オリビエに裏切られたと思ってしまったからだろうか。

 先にオリビエを裏切ろうとしたのは、自分の方なのに。

「……今でも思っている。もしかしたら、俺はお前の隣にいるべきではないのかもし

れない。……だが……」

 そこまで言って、僅かに俯く。軽く目を瞑り唇を引き締める。

 脳裏をよぎるのはこれまで共に過ごした日々。

 楽しい時も辛い時もいつでも隣にいた。オリビエの存在を疎ましく思ったことも

あったが、それ以上に愛しく思った瞬間の方があまりにも多すぎた。

 その想いは今でも変わらない。……変わるはずが無い。幼き頃の誓いは今もここ

にあるのだから。

 胸中でそう小さく呟きながらミュラーは顔を上げる。

 決意と自信に満ちた瞳。そこにはもう迷いは一切ない。

「俺以外の人間がお前を護れるはずがない」

 だが、自分を見つめてはっきりと言い切る幼なじみをオリビエはどこか呆れた目で

見やる。

「……大した自信だね。キミは自分がこの世の誰よりも強いとでも?」

「そんなことは言っていない。ただ、俺は誰よりもお前のことを知っている。それだけ

だ」

「………………」

 こんなに簡単なことだったのに何故わからなかったのだろう。

 確かに自分は過ちを犯した。だが、恐らく同じ過ちを犯すことは二度とない。

 だって、オリビエは今生きている。ミュラーの目の前にいるのだから。

 それに自分が去るということはオリビエを一人きりにしてしまうということだ。もしミュ

ラーがいなくなったところでオリビエは決して立ち止まらないだろう。……オリビエを

たった一人であの怪物に立ち向かわせるなど狂気の沙汰だ。

「お前が何を求めているのか、俺にどうして欲しいのか。俺は全てを理解している。

お前がリベールで遊び呆けていられたのも俺がお前の行動を把握できていたから

だ。お前も、俺がいたからあれだけ自由にやってのけていたのだろう。違うか?」

「………………」

 オリビエは答えない。ただ、笑みも崩さない。

 しかし反論をしないということは、それ以上言い返せる言葉がないということだ。

「お前を護ることができるのは、俺しかいない」

 本当に、どうして今まで気付かなかったのだろう。

 自分はオリビエを護るために生まれてきた。ただそれだけのことなのに。

 もう一度強くその事実をつきつけると、ミュラーは手の下にあった紙を手に取っ

た。

 オリビエに見せつけるように両手で持ち、軽く力を入れて引き裂こうとする。

 これが決して揺らぐことのないミュラーの決意。そう示そうとして、

「ミュラー」

 オリビエの声に呼び止められた。

 手を止めてオリビエを見やると、先ほどから変わらぬ笑みのオリビエがそこにい

た。

「これだけは言わせてほしい。……キミはきっと、後悔する」

 いつも以上にハッキリとした物言い。

 引き返すならこれが最後だ。言葉にはしなくてもオリビエがそう言っているのがわ

かった。

 しかしそんなオリビエを一瞥し、ミュラーは言い放つ。

「阿呆が。そんなことはわかりきっている。……どちらを選んでも必ず後悔をするの

だ。同じ後悔をするなら、お前と共にいる方を選ぼう」

 それはいつもの、オリビエがよく知っているミュラーの表情。

 どこまでも呆れ返ったような顔で『阿呆が』と言うミュラーの姿がオリビエは好きだっ

た。ミュラーと共に過ごせる時間を、オリビエは何よりも愛していた。

 けれどそう思っていたのはオリビエだけではない。

 ……ミュラーも、オリビエと同じことを思っていたのだ。

 ビリリッ……と、小気味の良い音を立てて辞令書が二つに裂かれる。

 もうこれで後に戻ることはできない。ミュラーはオリビエと共に茨の道を進む決意を

新たにしたのだ。

「………………」

 ミュラーの手から離れ、ゆっくりと床に落ちていく2枚の紙をオリビエは無言で見や

る。

 ……つ、と、その瞳から一筋の涙が零れ落ちた。

「……オリビエ?」

 何の前触れもなかったその涙にミュラーは軽く目を見開く。

 しかしそんなミュラーとは裏腹にオリビエの表情は変わらない。先ほどと同じ笑み

のまま、僅かに目を細めさせる。

「……怖かったんだ……」

 ぽつりと呟かれた言葉は今にも消えてしまいそうなほど。

 それでもオリビエの声ははっきりとミュラーの耳に届いた。

「このままミュラーがいなくなってしまったらどうしようって……本当は、ずっと怖かっ

たんだ……」

 ミュラーに首を絞められたあの日。

 あのミュラーの行い自体に関してはオリビエは何とも思っていなかった。

 ただどうしても気になったのが、自分がそこまでミュラーを追い詰めてしまっていた

のだという事実。

「あの怪物を倒すと決めた時は何とも思わなかったのに……キミがいなくなってしま

うかもって考える方が、何よりも恐ろしかった……」

 もしミュラーを苦しめるだけになるのなら宰相と対峙することを諦めようか、とも考え

た。

 ……だが、どうしてもそれを選ぶことだけはできなかった。宰相を見逃してしまえば

エレボニアは一体どうなってしまうと言うのだ。そんなことになれば、自分で自分を許

せなくなってしまう。

 けれど今のままではミュラーを更に苦しめてしまうだけ。ミュラーは責任感の強い

男だから、このまま一緒にいると自責の念に捕らわれて自分で自分を傷つけてしま

うかもしれない。

 ならば、そうなる前に。

「でも、ミュラーがボクから離れたがってるのがわかって……それならボクの方から

離れてあげなきゃいけないって……そう、思って…………」

 これが、本当に嘘偽りのないオリビエの本心。

 ……オリビエはいつもそうだ。ミュラーのためだと言って笑顔で嘘を吐き、己の気

持ちを押し殺す。

 決して人には悟られぬように笑顔を振りまき、心で泣く。それがオリビエという男

だ。

 本当はずっと側にいてほしいくせに。

 他の誰かに代わりなど務まらない。ミュラーでなければダメなのだ。そう泣いて叫

んでしまいたかったのに。

「……阿呆が」

 だからミュラーはもう一度その言葉を呟く。

 唇を噛みしめ、眉根を寄せて、微かに声を震わせて。オリビエの頭にその大きな

手を置いてくれる。

「いつも言っているだろう。俺は不器用だから、言われなければわからない。……も

う次はないぞ。だから、俺には嘘はつくな」

「うん……」

「何も心配しなくていい。貴様はただ前だけを向いていろ。……お前の後ろは、俺

が護ってやるから」

「……うん……」

 頭を撫でられるなど何年振りだろうか。

 子供の頃から変わらない手の平の暖かさにオリビエは自然と笑顔になる。



 長かった夜が、静かに明けようとしていた。






























リクエストをいただきました、「明けぬ夜の闇の中」の後日談です!
リクエストでは『それぞれ散々悩んだあげく本音で話し合い、衝突しながらも改めて宰相の打倒を誓い合って友情を深めて』とあったのですが期待に沿えた気がしない(白目
でも私の中の帝国コンビってこんな感じなんですよね。
しかし何て言うか、うん。泣くオリビエが書きたかっただけ。

2012.6.3 UP

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