― 今宵は君と二人きりで ―    



「オリビエ、アンタ今日が誕生日なんでしょう?」

 

「え? 覚えててくれたの?」

 

「……よく言うわよ。しつこいくらい祝ってくれって言ってたクセに」

 

「あれー? そうだったっけー?」

 

「まったく……ま、こうして出会ったのも何かの縁だし、私でよければ

 お祝いしてあげてもいいわよ? もちろんできる範囲でだけど」

 

「それならとても簡単なことだよ。このままボクとベッドまで向かってもらって

 共に朝まで甘い睦言を…………」

 

「あらぁ。バーじゃなくてベッドの上でお酒を飲みたいのぉ?

 いいわねぇ。なんならアイナも呼んできてあげましょうか? きっと楽しい夜になるわよ」

 

「……い、いや、その申し出は丁重にお断りさせていただくよ」

 

「もう……人がせっかくお祝いしてあげる気になってるんだから、寝言は寝てから言ってよね」

 

「ヒドイなぁ。ボクはいつでも本気なのに」

 

「はいはい勝手に言ってなさい。……そうね、このお店でいちばんいいお酒でも奢りましょうか?」

 

「それもとても嬉しい提案だけど……それより、ボクのお願いを一つだけ聞いてくれないかい?」

 

「今度ふざけたこと言ったら本当にアイナを呼ぶからね」

 

「そ、それは本当に勘弁してくれたまえ……。

 ……まぁ、誰にでもできる……でも、シェラ君にしかできないことなんだよ」

 

「なぁに?」

 

「ボクの歌をね、聴いてほしいんだ」

 

「……そんなの、いつもやってることじゃない」

 

「んー、まぁそうなんだけどね。……でも、今聴いてて欲しいんだ。

 ここで、ボクの弾く曲を、ボクの歌声を。シェラ君だけに」

 

「……………………」

 

「駄目かい?」

 

「…………ま、仕方ないわね。他に観客もいないことだし。いいわよ、聴いててあげるわよ」

 

「ありがたき幸せ」

 

 

 

 

 

―― 他に客のいない酒場の中に、オリビエのリュートの音色が鳴り響く。

 

    それはとても静かな……けれど、とても幸せな瞬間 ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++++++++++++++

あんまり誕生日関係なくなったけどまぁいいや(笑

2008.3.30 UP

戻る

inserted by FC2 system